月と木星

愛のこと、徒然なるままに。

針金のコサージュ

中学の時に好きだった子は、

サッカー部だった。

ほにゃほにゃしてて、

笑顔までほにゃほにゃだった。

 

夏になるとまっくろになって、

歯だけがぴかっと白かった。

でもやっぱりほにゃほにゃだった。

 

相手に気持ちを伝えることもせずに

進路は別々の道に進んだ。

 

 

大人になって、

ネットの海で再会した。

奇跡だと思った。

 

気持ちを伝えて燃え上がった。

それはそれは苦しいほどに。

 

 

何年も時を経てるのに、

相変わらずほにゃほにゃの笑顔だった。

最高だなって思った。

 

 

仕事でコサージュが必要になった~って

話をすると、彼は趣味でしていた

針金細工というのか、それで、

小さなお花のブローチを作ってくれた。

 

クリスマスにホットカーペットをくれるような

人だった。いつも1番わたしのことを

考えてくれている人だった。

やさしいまなざしと、

ほにゃほにゃの笑顔が

だいすきだった。

 

 

そのブローチをつけて

意気揚々と仕事に向かった。

職場のお姉様が、

「これ付けなさい」て

どこにでもあるような、

お花のコサージュに付け替えられた。

なんで断れなかったんだろう。

なんでこれを付けます!て

いえなかったんだろう。

 

 

気持ちがしょげるのを感じた。

彼のことを何も知らない人に

ぐしゃってされたような気持ちになった。

 

彼は笑ってた。

あのほにゃほにゃの笑顔で。

叱ってよ。責めてよ。

そんなこと言える訳もなく。

 

 

 

恋が終わった。

 

 

今もどこかで、

ほにゃほにゃ笑ってるのかなぁ。

お日様みたいな人だった。