月と木星

愛のこと、徒然なるままに。

いつかモッシュピットで

恋をした。16も歳上で家庭がある人だった。

 

とめられなかった。

 

自分のものにならないことも

最初はしかたないって思っていた。

 

なのに、会う度に

どんどん好きになるんだもん。ずるいよね。

 

 

 

よく一緒に音楽を聴いた。

彼が愛していたバンド

ライブでは

激しいモッシュが起こる。

 

聴きに来ている人は

踊ったり、泣いたり、体をぶつけたり

 

嬉しそうに話す顔が好きだった。

その音楽自体はどうでもよかった。

 

 

 

彼さえいれば

何もいらないって思ってた。

 

夜、一緒に散歩をしているときに

猫が轢かれていた。

 

あー、、、この恋も終わるのかなと

思って涙が止まらなかった。

 

 

彼は戸惑っていたけれど

「埋めてあげよ」

 

 

近くの公園の

大きな桜の木の下に埋めてあげた。

 

 

 

彼の優しさが大好きだった。

優しさが辛かった。

なんで、わたしのものにならないの?

 

 

埋めたあと、

公園のベンチで話をした

たくさん、たくさん。

 

「いつか、モッシュピットで会おう」

これがさよならの言葉だった。

 

 

連絡もこなくなった。

彼のこと、愛してた。

 

 

大好きだった。

どうでもいいと思ってた音楽を

今でも聴いてるのは

またいつか逢えると期待しているのかもしれない

 

 

いつかモッシュピットで

逢おうね